前回は記憶力を競う大会というものがあって、世界大会も行われているという話をしましたが、では記憶力を競う大会では何をどうやって競うのでしょうか?
世界記憶力選手権って知ってる?記憶の達人が世界中から大集合!
今回は記憶力競技の内容について書いていきます。
十種競技で記憶力を競う
記憶力競技は文字通り記憶力を競うのですが、具体的にはどんなことをすると思いますか?
記憶する対象となるのは数字、トランプ、名前、年表、単語、イメージなどがあり、合計10種目で競います。
陸上の十種競技の記憶力版みたいな感じです。
記憶する対象も、時間もそれぞれ違うので、選手それぞれ得意種目、苦手種目が出てきたりもします。
「数字を覚えるのは得意だけど、名前を覚えるのが苦手」とか、
「スピード勝負の種目は好きだけど、時間が長いものは苦手」とかあります。
そこがまた面白いところでもあります。
10種目の内容
ではその10種目がどんな内容なのかをざっくりと説明していきますね。
SPEED CARD
シャッフルされた1組52枚のトランプをどれだけ速く順番通りに記憶できるかを競う種目です。大会の花形種目でもあります。
こんな感じで行われます。
1組のトランプを10秒ちょいで記憶するなんてすごいと思いませんか?見ているだけでワクワクしてきませんか?
私もこの種目に魅了されてメモリースポーツ(記憶力競技)の世界に徐々にハマっていくことになりました。
このブログでは「トランプ記憶」というカテゴリーでトランプの記憶の仕方などを詳しく紹介しています。興味がある方は参考にしてみてください。
SPEED NUMBER
ランダムに並んだ数字の羅列を5分間でどれだけ多く記憶できるかを競う種目です。こちらもSPEED CARDと並んで花形種目です。
世界記録はなんと568桁です!
このブログでは数字記憶というカテゴリーでやり方等を紹介しています。
数字記憶とは?100桁の数字もたったの1分で覚えるテクニック
IMAGES
ランダムに並んだイメージ(絵)を順番通りに記憶していく種目です。
こんな感じで1列につき5個ずつ並んでいます。それを順番通りに記憶していくのです。
HiRo
このブログでは記憶力競技のものとは少し内容がことなりますが、メモリーリーグというサイトを利用したイメージの記憶方法を「イメージ記憶」というカテゴリーで紹介しています。
RANDAM WORDS
無作為に選ばれた単語をどれだけ多く記憶できるかを競う種目です。
こんな感じで単語がずらっと並んでいます。
日本語の場合はひらがなとカタカナと漢字の違いもあるので要注意です。
カタカナで書かれているものをひらがなで書いてしまうとバツになってしまいます。
私は世界選手権の大事な舞台でそのミスを犯してしまいました…
「ナマケモノ」を「なまけもの」とひらがなで書いてしまったのです。。。
この一つのミスだけで1列の単語20個を記憶したものが、一気に半分の10個にまで減点されてしまうのです(泣)
HiRo
HISTORIC DATES
架空の年表の出来事の年号を記憶する種目です。
実際の出来事ではなく、架空の出来事なので、たまに意味がよく分からないものや、笑いそうになるものも出てきたりします(笑)
HiRo
NAME&FACE
顔と名前を記憶する種目です。
こんな風に国籍も名前もバラバラです。欧米人の顔に日本人風の名前がついていたりすることもあります。
HiRo
BINARY NUMBER
0と1の二進数の羅列をどれだけ多く記憶できるかを競う種目です。
0と1だけの羅列なので、ずっと眺めていると酔いそうになってきます(笑)
0と1だけの羅列をどうやって記憶してるの?という質問をたまに受けますが、二進数を十進法に変換して記憶しています。
十進数に変換すれば、あとは数字記憶(SPEED NUMBER)の時と同じやり方です。
SPOKEN NUMBER
1秒ごとに1つの数字が読み上げられ、それを順番通りに記憶していく種目です。読み上げられる音声は英語です。
音声のペースについていかなければいけませんし、先頭から順番に記憶の保持もしていかなければいけないので、メモリーアスリートたちにとってもなかなか難易度が高い種目です。
私は聞き取った英語の音声をまずは日本語に変換してから、それをさらにイメージに変換しているのですが、スピードが全然間に合わなくて、私にとっては無理ゲーです。。。
英語の音声を聞いた瞬間にイメージに変換できるようにトレーニングをしないといけませんね。
HiRo
ONE HOUR CARDS
1時間でどれだけのトランプを記憶できるかを競う種目です。
SPEED CARDがスピードを競う短距離走だとすると、こっちは1時間かけておこなう記憶力(トランプ)のマラソンみたいなものですね。
記憶の時間が1時間で、解答時間が2時間あり、計3時間です。
競技を終えた後にはマラソンを走ったかのようにぐったりしてきます。
しかもこの競技のキツイところは午後の最後の種目として行われるところです。
午前中にも競技を行い、午後にも他の競技を行った後にやるので、すでに脳のスタミナもかなり消費していますし、冗談抜きで途中で意識が朦朧としてきましたよ。
陸上で例えるなら散々走ったり、高跳びしたり、砲丸投げをした後に、マラソンを走らされるようなものかもしれません(笑)
HiRo
ONE HOUR NUMBER
1時間でどれだけの数字を記憶できるかを競う種目です。
こちらもSPEED NUMBERが短距離走だとすると、こっちは記憶力(数字)のマラソンみたいなものです。
時間も同じく記憶が1時間、解答が2時間の、計3時間です。
こちらも競技を終えた後にはぐったりです。
ずっと数字の羅列を眺めているので、競技が終わった後でもデジタル時計の数字を見ると、反射的に記憶しそうになります(笑)
10種目のトータルポイントで競う
上記の通り全部で10種目あり、その10種目の合計ポイントで競います。
先ほども述べたとおり、10種目もあるので、選手それぞれ得意種目、不得意種目があったりします。
どこかの種目でミスをしてしまったり、調子が出なかったりすることもあります。その代わりに他の種目で挽回することだってできるのです。
私も世界選手権の初日はボロボロでした。ジャカルタ入りする前にベトナムに寄っていたのですが、そこで体調を崩してしまい、熱は出るわ、お腹は痛くなるわで、コンディションも最悪でした。
それに数字を記憶するシステムをこの大会前に大幅に変更したのですが、それが思うように馴染んでいなかったのもあって、数字の種目2つで大失敗をしてしまいました。
もうその日はどん底の気分だったのですが、日本を代表するメモリーアスリートでもある青木健さんが凄く励ましてくれたのです。青木さんのお陰で気持ちを切り替えることができ、翌日以降は何とか立て直すことができました。
10種目あるので最後まで何が起こるか分かりません。そこがこの競技の面白いところでもあります。
10種目を3日間かけて行う
3日間のコンディション調整も大事
世界記憶力選手権は3日間かけて行われます。3日間とも朝から夕方まで競技を行い、ずっと頭をフル回転させているのでまさにアスリートと呼ばれるのにふさわしいくらいハードな大会です。
頭も体もベストな状態を維持できるように食事や睡眠にも気を配らなくてはいけませんし、選手によっては決まったものしか口にしないような人もいます。母国から食料だけでなく水まで持参している選手もいます。
海外の土地で食べ慣れないものを食べてコンディションを崩してもいけませんからね。
私は現地の「INDOMILK」ってのを口にしてから、お腹が過敏になってしまいました…
多分、こいつが悪いわけではなく、たまたま私との相性が悪かっただけだと思うが…
「飲むヨーグルトみたいな味でまぁまぁ美味しかったよ」とこいつの名誉のために言っておきます(笑)
ただフタは凄まじく開けにくかったです。
しばらく格闘した後のINDOMILKさんのご様子です。
HiRo
競技中は飲食もOK
また競技中は軽い飲食もOKです。
選手の各座席にはあらかじめお水とキャンディーが用意されていますし、持参したものを口にしても構いません。
ずっと頭を使っていると血糖値も下がってきますし、適度に水分やエネルギーを補給することも大事です。
私も持参したinゼリーを飲んだり、キットカットを食べたりしていました。
そういった3日間のコンディション調整も選手の実力の一つなのだと思います。
世界大会ってすべて英語でやるの?
こういった質問を受けたこともあるのですが、競技は日本語にも対応していますので安心してください。
上記の種目説明でもサンプル画像をのせましたが、単語や年表や名前など言語が関係してくる種目は自分の好きな言語を選択することができます。
英語や日本語以外にもアラビア語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語などメジャー言語の中から選ぶことができます。
SPOKEN NUMBERだけが英語の音声です。
ただ大会の進行は英語で行われますし、質問等がある場合も基本的には英語で行わなければいけないので、簡単なコミュニケーションをとれるくらいの英語力はあった方がいいと思います。
それに英語ができれば他の選手たちとも交流できますしね!
記憶力競技の内容も分かってきましたが、この大会ってどんな雰囲気の中で行われていると思います?
休憩時間もみんなピリピリしている?話しかけるなオーラを出している?
次回はそんな大会の雰囲気についてお伝えしていきますね!