前回は記憶の宮殿とはどういったものかという内容でしたが、今回は実際に記憶の宮殿の作り方に入っていきます。
(前回説明した通り記憶の宮殿には様々な呼び方があります。場所法、ジャーニー法、メモリーパレス、マインドパレスとも呼ばれていますが、ここでは「記憶の宮殿」という呼び方で統一しています。)
記憶の宮殿は誰でも簡単に作れる
記憶の宮殿というと、
- 作るのが難しそう
- 面倒くさそう
- そんなの都市伝説じゃないの!?
こんな風に思っていませんか?
実はそんなことはありません。
コツさえつかめば簡単に作れますし、いくらでも増やしていくこともできます。
古くから伝わり、今もなお使われ続けている方法です。それだけ効果もあり、それだけ利用しやすいということでもあります。
やり方もとってもシンプルです。たった2つのステップを踏むだけです。
早速作り方を説明していきますね。
2ステップで記憶の宮殿を作る
1つ目のステップ
記憶の宮殿にする場所を決める
1つ目のステップは記憶の宮殿にする場所を決めることです。
場所はどこでも構いませんので、馴染みが合って、イメージを思い浮かべやすい場所を選んでください。
例えば自分の部屋、学校、仕事場、よく行くカフェなど、その場の情景が浮かびやすく、どこに何があるかをパッと思い出せる場所にしましょう。
HiRo
2つ目のステップ
記憶の宮殿にアクセスポイントを設定する
2つ目のステップでは記憶の宮殿の中に、1つずつ順番にアクセスしていくポイントを決めていきます。
例えば自分の部屋を記憶の宮殿に選んだとします。
部屋の様子のイメージを描いてみると、そこにはテレビ、テーブル、ベッド、ソファ、本棚・・・など、存在感があるもの、特徴的なものが浮かんでくると思います。
こういったものを1つずつ順番にアクセスしていく「アクセスポイント」として設定していきます。
このアクセスポイントが記憶したいものを留めておく「記憶の保管庫」の働きをしてくれるのです。
やることはこの2つだけ
- 記憶の宮殿にする場所を決める
- 記憶の宮殿にアクセスポイントを設定する
ざっくりとした説明ですが、記憶の宮殿を作る時にやることはたったの2つだけです。
HiRo
記憶の宮殿の作り方の実例
言葉だけで説明しても分かりにくいと思うので、画像を交えながらもう少し詳しく説明していきますね。
まずはステップ1として、記憶の宮殿にしたい場所を選びます。
HiRo
ここではこの画像の部屋を記憶の宮殿にしていきますね。
次にステップ2として、ここにアクセスポイントを設定しています。
この部屋の中から印象に残るもの、イメージが描きやすそうなものを選んでいきます。
例えば、こんな感じです。
赤丸を付けたものは一例として私がアクセスポイントに設定したものです。
もちろんこの通りじゃなくていいので、自分が印象に残ったもの、イメージが描きやすいものを自由に選んでくださいね。
数もここでは7つにしていますが、5つでも10でも20でも自由で構いません。
1から7まで数字がつけられていますが、これはどういった順番にアクセスしていくかを決めたものです。
1のイスをスタートとして、7まで順番通りにアクセスをしていきます。
このように順番を決めておくことで、順番通りに覚えなければいけないようなものでも、順番通りに記憶しておくことができるのです。
記憶の宮殿を作る時にやることは以上です。
記憶の宮殿にする場所を決めて、後はアクセスポイントを設定するだけです。
HiRo
記憶の宮殿を使った記憶の仕方
買い物リストを覚えてみよう
記憶の宮殿を使って、どうやって記憶するの?
そんな風に思う人もいるでしょう。
記憶の宮殿の作り方が分かったところで、次はこれを使って実際に記憶をしてみましょう。
例えばこんな買い物リストがあったとします。
- 乾電池
- 納豆
- アイス
- ニンジン
- りんご
- さんま
- 大根
この7つを覚えるとすると、記憶の宮殿のアクセスポイントに順番にそれぞれのイメージを並べていくのです。
記憶の宮殿にイメージを並べていく
まずは頭の中で記憶の宮殿のイメージを描いてください。
そして1つずつアクセスポイントに記憶したいものを並べていきましょう。
- 乾電池
- 納豆
- アイス
- ニンジン
- りんご
- さんま
- 大根
- 1番の椅子の上に乾電池を置く
- 2番のお花のガラスケースに納豆を乗せる
- 3番の本棚の中にアイスを入れる
といった具合に7番まで順番にイメージを並べていってください。
記憶の宮殿のアクセスポイントの様子をじっくりとイメージしながら、買い物リストのもののイメージを並べていってください。
記憶の保管庫になる
7つ全てを並び終えたら、もう一度イメージの中でアクセスポイントを1番から順番に歩いてみましょう。
すると、1番の椅子には何が置いてあったかイメージが浮かんできませんか?
HiRo
2番のガラスケースには何が置かれていましたか?
HiRo
3番の本棚の中には何を置きましたか?
HiRo
こんな風にさっき並べたイメージが浮かんできたのではないでしょうか?
一つ一つ設定したアクセスポイントはこのように記憶したいものを保管する記憶の保管庫の役割を果たしてくれます。
始めのうちはイメージを描くのが難しく感じるかもしれません。今はイメージがぼんやりとしか浮かんでこない人もいるでしょう。
しかし何度も繰り返しているうちにだんだんとイメージも描けるようになってくるので安心してください。イメージ力はトレーニングで鍛えることもできますよ。
記憶しやすくなるコツ
ストーリーを添えてインパクトを残す
記憶の宮殿にイメージを並べる時には一つ大事なコツがあります。
それはインパクトを残すことです。
例えば1番の椅子には乾電池を置きますが、ただ単に置くだけではイメージとして残りにくいです。
そこに一つひねりを加えましょう。
例えば「椅子に座ろうとしたら乾電池を踏んづけてお尻が痛くなった」そんなストーリー性を持たせてイメージしてみてください。
2番は花にネバネバした納豆がくっいている様子。
3番はアイスが溶けて本がびしょびしょになっている様子。
4番は長いこと直射日光を浴び続けて干からびている人参。
5番はりんごをガラスにたたきつけて、りんごの汁がガラスについている様子。
6番は机からはみ出そうなくらい巨大なサンマ。
7番は大根がすっぽりハマっていて、力いっぱい引っ張っても抜けない様子。
こんな風にストーリー性を持たせて、インパクトが残りやすいイメージにしていくのです。
インパクトのあるイメージを思い浮かべることで、記憶としても残りやすくなります。
ここに挙げたのはあくまで一例なので、あなたが覚えやすいようにあなたなりのストーリーを付け加えてみてくださいね!
記憶の宮殿の凄さを体感する
いざ実践!
記憶の宮殿の作り方も使い方も分かったら、今度は自分で記憶の宮殿を作ってみてください。
そして記憶の宮殿を利用して、買い物リスト、TO DOリストなどを覚えてみましょう。
記憶の宮殿を作り、そこに記憶したいもののイメージを並べていく。
ただこれだけのことですが、慣れてくるととてもスムーズに覚えられるようになりますよ。
- 「記憶の宮殿すげぇ~!」
- 「やべぇ~めっちゃ覚えられる!」
ってなると思います。まずはそれを体感してみてください。
作れば作るほどたくさんのものを覚えられる!
記憶の宮殿を作るのに慣れてくると、どんどんと新しいコースも作れるようになってきます。
行きつけのカフェや美容院、家から最寄り駅までの道のり、旅行で訪れた場所など、いろんな場所を記憶の宮殿にすることができます。
慣れてくるとグーグルマップを利用して作ることもできるようになってきますよ!
世界中を記憶の宮殿に!グーグルマップを利用して宮殿を作る方法
そして記憶の宮殿は作れば作るほどたくさんのものを記憶できます。
記憶の保管庫を50個作れば50個のものを記憶できますし、100個作れば100個のものを記憶することができます。
さらには1つの保管庫に2つや3つイメージを置くような高度なテクニックもあったりします。
宮殿を作れば作るほどたくさんのものが覚えられるようになりますし、そうなってくると記憶することがますます楽しくなってきますよ!
1度作ったコースはずっと使い続けることができる!
さらに記憶の宮殿の素晴らしいところは、1度作ったコースはずっと使い続けることができることです。
例えば先ほどは7つの買い物リストを宮殿に並べていきましたが、あの買い物が終われば、また違うものを並べることができます。同じ宮殿を繰り返し何度でも利用することができるのです。
HiRo
記憶の宮殿がトランプ記憶や数字記憶の土台になる
シャッフルされた1組のカードの順番を記憶したり、ランダムに並んだ数字を記憶したり、写真を順番通りに記憶したり・・・そういった記憶術に憧れる人もいるでしょう。
記憶の宮殿はそういった記憶術の土台にもなります。
トランプや数字や写真を記憶するのにも記憶の宮殿を利用して覚えているのです。
これは私だけに限らず、メモリーアスリートと呼ばれる記憶力選手権に出場している人たちも同じことです。
HiRo
トランプ記憶もできるようになる!
私自身も記憶の宮殿を利用し、1組のトランプを1分以内で記憶できるようになりました。
トランプの記憶の詳しいやり方はこちらに書いています。
数字記憶もできるようになる!
ランダムに並んだ80桁の数字を1分以内で記憶することだってできるようになりました。
数字記憶の詳しいやり方はこちらに書いています。
数字記憶とは?100桁の数字もたったの1分で覚えるテクニック
イメージ記憶もできるようになる!
ランダム並んだイメージ(写真)の順番を短時間で記憶することもできるようになりました。
イメージ記憶の詳しいやり方はこちらに書いています。
上のトランプ記憶や数字記憶の画像はメモリーリーグと呼ばれるサイトでのスコアです。
記憶の宮殿を作り終えたら、ぜひこちらにもチャレンジしてみてください。
オンラインで手軽に記憶力のトレーニングができるのでお勧めですよ!
メモリーリーグについてはこちらに詳しく書いています。
記憶の宮殿の作り方のおさらい
記憶の宮殿の作り方はここまでで話した通りです。
やることは、
- 馴染みのある場所を記憶の宮殿にする
- 記憶の宮殿にアクセスポイントを設定する
たったこれだけです。あとは記憶したいものをアクセスポイントに並べていけばいいのです。
記憶の宮殿を利用するだけで本当に面白いように記憶力がアップしますよ!
記憶の宮殿を利用しないなんて本当にもったいないです。
簡単に2ステップだけでできるのですから。
今まで「難しそう」「面倒くさそう」と思ってやっていなかった方も、この機会にぜひチャレンジしてみてください。
そして記憶の宮殿の凄さ、記憶の宮殿を歩く楽しさをぜひ味わってみてください!
HiRo
おすすめの本2冊
最後に記憶の宮殿に関するおすすめの本を紹介しておきます。
記憶に自信のなかった私が世界記憶力選手権で8回優勝した最強のテクニック
ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由(わけ)
【追記】
記憶の宮殿についてさらに詳しくまとめたトリセツもリリースしました!
こちらのリンクから購入可能です。
https://memory-palace.booth.pm/
画像のサイトが気になる方も多いと思うのでmemory leagueやArt of memoryに関する記事も書かれた方が良いのではないでしょうか。
英語で検索する習慣がある人以外は見つけにくいと思いますし。
中平様
コメントありがとうございます!
memory leagueやトレーニングにサイトに関しては問い合わせいただくこともあるので、書こう、書こうとはおもっていたのですが、書けていませんでした(^^;)
近々書くようにしますね。ご意見ありがとうございました!
日本語を勉強している外国人です。
ちょっと聞きたいがあります。
漢字の音訓をどうやってイメージに変換するんですか?
あとは、場所が空想的で自分の創り出した物は可能でしょうか?
ジョセフさん
コメントありがとうございます!
私の場合は漢字は「音訓」というよりも、その漢字の意味をイメージに変換しています。
漢字の音訓の読み方をイメージ化して覚えたいというのなら、似た音からイメージを作るとかですかね。たとえば「記憶」なら「きおく」の似た音から「木を置く」イメージに変換するとか。
すみません、質問の意図がいまいち理解できていなくて、音訓のイメージ化の状況が分からないので、的外れな回答でしたら申し訳ありません。
場所に関しては身近で実在する場所の方が、イメージも描きやすいと思いますし、臨場感も出しやすいと思いますが、違和感を感じないようでしたら空想上のものでもいいと思いますよ。
中にはゲームの世界を記憶の宮殿として利用している人もいるみたいですし、「記憶術全史」という書籍の中にも空想の壁を利用するシュンケル氏の記憶法というのが紹介されていますし、空想上の場所を利用している人はいるみたいです。
お忙しいにも関わらずお返事いただきありがとうございます。
僕の質問の仕方がうまくできなくてごめんなさい。
HIROさん言っている事がとてもわかりやすく、私でも理解できました!
アドバイスありがとうございます!
ジョセフさん
いえいえ、こちらこそ質問の意図をうまくくみとれなくてすみません。
お役に立てたのなら幸いです!
HiROさんこんにちは。
私は場所法を実践しているのですが、場所に置いたゴーストがいつまで経っても消えてくれず困っています。
時間をあける以外に何か解決策はあるのでしょうか?
それか完全に無くなるまで待っているからダメなのでしょうか?
はたまた上書きすればいいのでしょうか?
何も分からず困っています。
ご教授ください。
よろしくお願いします。(>人<;)
吉村さん
コメントありがとうございます!
いい質問でしたので、ブログ記事にて回答させていただきます。
https://memory-kioku.com/ghost-01/
https://memory-kioku.com/ghost-02/
お役に立てれば幸いです。